ネタバレを含むざっくりとしたあらすじ
2019年度合唱コンクールに出た合唱部部長の岡聡実(齋藤潤)は、やくざの成田狂児(綾野剛)にカラオケに誘われる。狂児は地獄のカラオケ大会での歌下手王(罰ゲームは組長特製入れ墨)を回避するために、聡実に歌を教えてほしいとのこと。持ち歌は「紅」。狂児に半ば丸め込まれながら、カラオケ練習につきあうことになった聡実。狂児と関わることで大人の汚さを実感したり、和田・副部長のやらしーコントに巻き込まれたり、フリーザみたいに切れながら、カラオケ大会にて地獄へ行った狂児に捧げる「紅」を熱唱した聡実。カラオケ大会の終わりと共に姿を消す狂児。声変わりとともに少し大人になった少年の物語としてさわやかなエンディングが流れた後、2024年に「カラオケ行こ」と電話する狂児の姿で物語は閉じるのでした。
面白かったシーンのまとめ
傘の流れ
柄が独特であること、母親に新しい傘をねだる所、NEW傘の柄も同系統で「同じやん」になる聡実が父親の悲しそうな表情に気づき「お父さんせめてるんじゃないで」のくだりが好きでした。お母さんに言った「しかたなく使い続けてるだけや」の返し「しかたなく使い続けなさい」だったのがめっちゃ面白かった。パワーWord!!
映画鑑賞から学んだ愛
「愛は与えるものらしい」→鮭の皮をお母さんがお父さんにあげて「愛」→愛の歌の流れ。父と母のシーンが壮大に描かれすぎて笑う。
映画鑑賞で実感する大人の汚さ
狂児の女性たらし術(女性の名前(おかん)をぼそっとアンニュイにつぶやいて遠い目)にまんまとたらされてしまい、子供が大人にビンタされる映画を見ながら「大人って汚い」とつぶやくシーン。実感がこもっていて笑う。
和田君
副部長の中川さんが和田君の話を猛烈に聞き流す相槌を打つ姿を見て、「中川何してんの?」→「子守」→「えらいなー」と見守る周り。彼の一生懸命さからくる空回り感がものすごくよかった!彼がいたから面白かったし、滑稽なのに感動するという謎の感情が発生。
切れてフリーザとなる聡実
副部長の中川・和田・聡実の3人の会話がかみ合わないまま「やらしー」展開になっただけでも相当面白かったのに、切れた聡実を「フリーザ」表現したところが一番の爆笑ポイントでした。聡実がぶち切れたシーンは作中屈指の名シーンなのに「フリーザ」に全部持っていかれてしまった。。。。
感想
笑った所はまとめたので、以降はそれ以外の感想。
「聡実くんは聡い果実やから、大丈夫や」と名前がいかれている自分みたいにはならないって伝えたり、金棒を買ってうれし気にline送ってきたり、人をたらしこむのが本当に上手い狂児。そら聡実はほだされるよねー、ほだされて「紅」以外の選曲リストまとめるよねー!あまつ、代わりに紅歌うよねーー!
でも狂児は人の懐に無理やり入ってきた癖に、いなくなる時はすっといなくなる。そしてまた、聡実もそれを受け入れて大人になっていく。紅の和訳歌詞で受け入れていく流れは秀逸で、青春のほろ苦さと瑞々しさいっぱいの映画でありました。
2人は生徒と先生の立場ですが、大人と子供でもっと言えば「悪い大人」と「可愛い子供」なわけで。作中にも悪い大人に「可愛いのみっけてん-」と絡まれる聡実。一歩間違うと本当に搾取になってしまう立ち位置なんですよね。たとえ聡実が自ら望んで狂児と関りを続けたとしても、やっぱり未熟な心に入り込まれた感はあると思う。
物語の最後、2024年を迎えるわけですが、その時、聡実は20歳。狂児の電話になんと答えるのか。
大人になってから選択を与えていると思う反面、あんな強烈な出会いはある意味、脳焼かれてるから確信勝ちでは?とも思ったり。やっぱり狂児は悪い大人だと感じたのでした。
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